Roll East

Imaginaire en vue

森拓馬さんのソフビ風のレトロフューチャー

タコとレーザー銃を手にしたカエル型ロボット、黄金色に輝くクリスタルの上に立ち赤みを帯びた光に照らし出されるダイバー、バスキアを象徴する王冠をかぶった青いゴジラ…。
これらの作品は2018年東京青山のビリケンギャラリーで開催されたアーティスト・森拓馬の個展で展示されていたものです。

これらの作品が醸し出す「パルプマガジン」な雰囲気に、私はすぐに惹きつけられました。
大胆なのに調和のとれた色彩のコントラスト、丸みを帯びたレトロフューチャーなキャラクターとの見事な組み合わせは、渋谷や中野にある「まんだらけ」で見つけた様な中古の60年代のソフビ人形を連想させました。

彼が描くキャラクターのデザインは攻撃的な感じでは無く、日本のアニメでよく見るロボットのような強そうな躯体や派手な武器は持っていません。そのかわりキャラクターからは時に奇妙な不気味さや、一種の懐かしさ、色鮮やかなホンワカとした夢のような、キュンとくる愛しさが感じられるのです。

日本のパルプマガジン

グワッシュで描かれた森拓馬氏の作品は、アメリカのパルプマガジンの表紙のテイストを取り入れており、「レッドパージ」「サードマン」「ロックステディ」「ハイファイタウン」などの架空の雑誌のタイトルが付けられています。これらのSF雑誌が本当に存在するなら、風変わりで毒々しいネオンカラーが魅力的なものだったでしょう。架空雑誌の表紙を通して、森拓馬氏はその確かな才能で夢幻のパルプマガジンやグラフィックの世界に敬意を表しているのです。

森拓馬さんのイラスト

彼の作品には日本の文化的モチーフが散見されます。1枚目のカエル型ロボットの背景には東京タワーが立っていたり、他の作品ではお鍋に入れる十字の切り込みを入れた椎茸のような顔のロボットが描かれています。また、スプラトゥーンの従兄弟のようなイカのキャラクターが今にも襲って来そうな表情で見つめていたり。この少しずつ発見できる細かいディテールや、これらの絵から読み取れるさまざまな面がある事を、私はとりわけ高く評価しています。

現代文化のモチーフだけでは無く、武蔵野美術大学で日本画を教えていた横山宏氏(マシーネンクリーガー)へのオマージュや、青森県で発見された縄文時代の土偶に良く似た突き出た眼を持つキャラクターなども描かれています。このレーザー銃を携えカラフルに彩られたキャラクターで、森拓馬氏は日本古来の土偶をユーモアを込めて再現しています。それだけでは無く、この土偶を取り巻く深い謎を、太古の時代の薄明かりに溶け込む様な色彩で描き出してもいるのです。

これから

森氏ご本人とは2022年にお会いすることができ、彼の経歴や最近の活動、手掛けているプロジェクトの事など色々なお話を伺いました。

森氏は武蔵野美術大学でデザインを学んだ後、アートフェア東京やビリケンギャラリーなどで何度も展覧会を開催し、セレクトショップのビームスともコラボレーションしています。
現在はグラフィックデザイナーとして活動されていますが、造形アーティストとの協力で彼のお気に入りのカエルロボを3D作品として制作する計画も進んでいるそうです。
早く見てみたいなぁ!(でも何て名前なんだろ…?)

この才能あるアーティストがアイデアの趣くままに活動できる事を、心から応援しています。
是非、彼のHPで他の作品も見てみて下さい!
Roll Eastでは引き続き森拓馬氏の今後の活動についてお知らせする事を約束致します!


森拓馬 Takuma Mori – Instagram / Home Page

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